美容鍼灸

人相は占いのものではなく実は東洋哲学の観相学で病気の診断法の一つです。つまり健康でなければ表情も変わりますし逆に人相から病気の傾向や体質なども予測判断することができます。そういった基本をベースに現代の技法を応用した美容鍼は当院独自のものです。さらに全身(内臓)から変えていくという考えで全体を調え体質を改善すれば効果が持続します。施術前後で違いを認識していだけるので是非1度だけでもお試しください。

美容鍼灸ブーム?

最近はすっかりブームになっている「美容鍼」ですが特に女性鍼灸師や若い方々には人気が高く芸能人のファンも多いようです。

私は以前『美人になるツボ教えます!!』という漫画家赤星たみこ先生が書かれた本の監修を手伝ったりテレビ出演したりして「美容鍼灸」を流行らせようとした時期がありました。また斉藤由貴さん主演のテレビドラマ『別れたら好きな人』で登場した鍼灸院は当院がモデルでした。しかし残念ながらブームになるほどブレイクはしませんでした。それが今になって何故?という感じですが、その火付け役が誰かは言わないでおきましょう。

さて、美容鍼灸というジャンルは古来より行われてきたアンチエイジング的な(シワ・シミ・たるみ)などに行われてきた技法の一部を使ったもの。ないしは顔面神経麻痺の鍼灸施術とやっていることは違わないと私は思っています。実際私が行っているのはそれなので。
ただし、効果を持続・維持し最大に発揮させるためには生活習慣の見直しや心の問題なども重要で東洋医学は「心身一如」の考えが基本になっているように、心と身体の両面から改善も考慮すべきだろうと思います。

顔面部に関して言えば人は加齢と共に生じる変化があり、それは体質や体調、生活習慣などによって現れる枝葉のようなもので、元になっている根を弱らせる何か?が存在するはずで、そこも改善させないといい状態は長続きしないでしょう。

また、表情筋に沿ってシワやタルミが生じますが、これは豊かな表情を作るのに欠かせない筋肉で一概に敵視するのもどうか?と思いますが、それによって印象が変わり仕事に影響の出る方も多いでしょう。特に女優やアナウンサー、接客業などに携わっている方達は他人から見られる機会が多いのでどうにかしたいと思う気持ちはよく理解できます。

当院で行っている美顔ないしは美容鍼とは?

一番多いのは皮膚に何らかの障害をもつ方の治療として。根本的な原因疾患の治療と合わせて行っています。アトピーや内臓疾患からくる場合もあるし首から上の原因だけではないものもあり実に様々です。

全身的な(特に末梢血流量の低下)血行障害で皮膚を含めた組織の再生が思うように行かないとか、乾燥しやすい皮膚の状態が常態化しているとか、浮腫・むくみなどの水分代謝異常があるとか、顔面神経麻痺のように神経が障害されている場合もあります。

昔から顔面部の吹き出物のような治療の特攻穴に肩にある「肩井穴」がよく使われてきましたが、首や肩の凝りによって顔面部に行っている血管や神経を圧迫し起こることは容易に推測できます。

更には筋萎縮性側索硬化症(ALS)で表情筋を上手に動かせなくなったり、パーキンソン病などでも起こるような無表情になる仮面様顔貌などの改善。または発声に関係する顔や喉の筋肉を刺激して言葉が聞き取りやすくなるような治療をすることもあります。

手順を追ってその内容を説明

初見

最初に通常通り質問を行い、東洋医学的な体質分析や現在の身体の状況を総合的に判断すると同時に生活習慣に問題点や改善すべきことはないかを時間をかけてお聞きし必要に応じて運動や食事に関するアドバイスなども行います。そして気になる点、どこをどうしたいかなどをお尋ねし、ご希望をうかがった上で改善すべき部分をチェックしていきます。

施術

顔面部に使用する鍼は全て0.1mmほどの細く短いシングルユースディスポーザブルの鍼を使用して行いたり、通電用の細い鍼を用います。
刺入方法は、「置鍼」といって刺した鍼をそのまま一定時間置いておく方法と、鍼に微弱な電流を流して皮下の筋肉を動かしたり皮膚組織に刺激を与える「鍼通電療法」方法があります。部位によって、この2種類の方法を取り混ぜて行っています。
 
刺入する部位は図に示すように刺入する部位と手技別に

A)表皮(皮膚表面から0.2mm程度)層への刺鍼

細かいシワなどへ刺したまま置いておく方法ですが当院ではあまり用いません。理由は鍼の本数を多く打たなくてはいけないことと見た目ほど効果的ではないからです。しかし「美容鍼」を行っている鍼灸院の多くはこの方法を採用しています。それは浅い鍼なので内出血のリスクを減らせるからです。

B)表皮の下にある2mmほどの真皮層への刺鍼

皮膚に平行に鍼を刺入しコラーゲンの再生力を高めエラスチンに刺激を与えて皮膚の弾性を強めます。この部分は重要で、なるべく広範囲に小さな組織破壊(破壊後に新たに新鮮な細胞によって再生されます)を生じさせるためにこのように平行して長めに刺入する必要があります。しかし内出血のリスクも少し高まります。体調が悪かったり前日のお仕事の疲れが溜まっていたりすると少しですが稀に出血することがあります。

C)皮下組織にまで達する刺入

通常の鍼と同様に顔面部を支配している筋肉や神経を刺激し、お肌のトラブルの原因になっている内面の問題を解消します。これにより血行が促進され、水分やリンパの代謝がマッサージなどとは比べ物にならないくらい激しく促進されます。しかしこれも内出血のリスクが高まります。でも医療的な美容などで早い改善を望まれる場合は用います。

刺入時の痛みは?

鍼は細いうえに、押し手(右図で説明)という皮膚を圧しながら突っ張る手技等により無痛で刺入可能です。これは古来より行われた高い技術をもって伝承されてきたものですのでご安心ください。

打つ本数は?

仮に全身治療を組み合わせて行った場合でも、通常数百本も打つようなことはありません。必要最小限の本数で的を絞って刺激します。

費用は?

美容鍼だからといって特別なことは無く一般の施術とほぼ同じです。ただし顔を施術してから全身も合わせて同日に行う場合は、倍の治療時間を要しますので2回分の費用(9000円)が必要です。

リスクについて

顔面部は細く切れやすい毛細血管が密集していますので、当然起こりうることととして内出血があります。そうならないように慎重に専用の細い美顔用の鍼を用い本数も最小にして行いますが、こればかりは絶対ということはなく、どうしても避けがたいことなのです。
鍼とはいえ注射針のように太いものではなく、刺入に損傷する組織も少ないですが、作為的に細胞を壊していますので、たまに血管を傷つけてしまい内出血に至ることもあります。その後は当然、部分的に赤くなり、その後青アザが生じます。目の周辺だと目立つかもしれません。
それによる後遺症や害はあるのか?と心配されることもあるでしょうが、それに関してはあまり考えられません。むしろアザが残っている内は刺激が継続して効果が上がるということも考えられます。また、痛みや違和感を多少感じる場合もあるかもしれませんがファンデーションやコンシーラーなどで隠していただいて1週間程度で消えるものと思います。当院では事前にこのリスクに関して十分にご説明した上で同意いただけたら施術を開始します。

美容鍼の1例

「美顔鍼」とは?具体的にどんなものなのかについて、1例報告をちょっと書いてみます。

3日前はじめて美容鍼をお受けになった方が本日お見えになって2回目の治療を行いました。その方のレポートです。写真は控えさせていただきます。よってイラストでご説明します。

年齢72歳 カルチャースクールの先生

整った顔立ちの方で、年齢の割にはお顔のしわも少なく浅めですが、人前でお話になる機会が多いのでお手入れをしたいとのこと。気になる点を上げていただき、お顔を拝見しながら今後の治療方針を決める。

改善点

  1. ホウレイ線
  2. 頬の張りを取り戻したい
  3. 目の下のクマ
  4. 目じりのシワ
  5. 額のシワ
  6. 右肩下がりの姿勢

治療

イラストの赤点には置鍼のみ。青点間は鍼通電療法にて表情筋+顔面神経の刺激を約20分行う。

その後、超音波治療器(深部用)にて約10分間海草から抽出したエキスを塗ってマッサージ。

1回目

主に顔面神経の枝分かれ部分を基点に目周辺と頬、下顎を中心に通電。

直後変化としてはホウレイ線がやや薄らいで全体的に各パーツが水平になってきた。

1日経過してから電話で報告を受けた。

内容:施術後の変化がはっきりと感じられ、特に頬の辺りに張りがもどってきた。

2回目

新たに改善点として顎のシワと首筋のシワを何とかしたいとの要求があった。

そのご要望を入れ、顔面神経の分岐点および前頭枝と、オトガイ筋の緊張をとるためにオトガイ孔および首の星状神経節への刺鍼を行う。また、ホウレイ線と目の下の真皮に平行に置鍼。直後から張りが戻ったような変化が出始めるも次回来院まで経過観察。

※その後も定期的にお見えになっています。

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