院長コラム

院長のよもやま話

認知症発症リスクは鍼で減らせる

早期認知症学会が終わってほっとしています。そして各種雑誌に取材記事が掲載され始めました。

今回、私はこの「鍼灸シンポジウム」を通して認知症の発症リスクを減らすのに鍼は大変有効な手段の一つになり得るということを実感しました。

認知症の高齢者が推計550万人、20年で6倍になると予測されている日本の現実を鑑みて、「転ばぬ先の杖」として早期に鍼灸を医療の中に組み込む必要性を感じております。

詳しく言いますと、我が国においては、2年前の推定で65歳以上の認知症患者数が462万人、予備軍の軽度認知障害が400万人になるという予測がたてられたのです。つまり高齢者の4人に1人は認知症になる可能性があるわけで、厚生労働省は認知症施策の見直しを行い「認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けることができる社会」の実現を打ち出し、地域医療・介護の連携を進めています。

しかし、残念なことに「地域包括ケア」の中にも「認知症ケアパス」の中にも『鍼灸』の文字は見当たりません。

鍼灸は、加齢で増加する全身性の痛み軽減やADLの改善などにも有効であり、うつ症状などを緩和したりと脳への直接的な効果も認められています。また、食事が入らなくなるほどの投薬の量を減らし費用対効果も高く、楽に動けるようになることで活動性もあがり、しいては認知症の発症リスクを減らすことが可能です。

このように優れた日本国の伝統医学である鍼灸医療が、地域医療連携の中に組み込まれていない現状は見過ごせません。責任は、鍼灸の有用性・有効性を十分に示して来なかった我々の情報発信能力の欠如に他なりません。

そこで、今年から早期認知症学会では、積極的に鍼灸を組み込んでいただくことになりました。大会参加費などを見ても分かるとおり、正会員資格は「医師・歯科医師・鍼灸師」のくくりとして扱われるようになりましたし、後援学会・団体として「千葉鍼灸学会」「全日本鍼灸学会」が入っています。

これから私達が成すべき事は「認知症に対する鍼灸の有効性を示すエビデンスの確立と症例集積」かと思っています。

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