得意とするもの
動物への鍼灸
動物の鍼灸(はり・きゅう・マッサージ)
西洋の近代獣医学が導入されたのは、明治5年からになります。それ以前は主に家畜や、戦国時代だったら武将などの愛馬は鍼灸や漢方薬を用いて鍼灸(按摩)や漢方の医者が治していました。動物も人間もツボの位置や効能は似ているので動物へも鍼灸施術が行われていたということですね。
江戸時代から続いている当家の先代達からは、昔は動物にもヒトにも同じように鍼灸をしていたと伝え聞いております。父(前の院長)が数々の有名な競走馬を生み出した千葉県三里塚で開業していた頃は、病気になった家畜の相談を受けていたことも多かったと言っていました。
代々伝承されてきた鍼灸術を絶やすのは勿体ない気持ちもあり、本業はあくまでも人間ですが、問合せや鍼灸施術について知りたいという希望が多くあったので獣医師の先生と共同で現代獣医鍼灸術について研究を始めました。
日本で動物に鍼灸やツボを応用した施術をしているところがまだ少なかった時代です。そこで、私が最初の頃携わるきっかけになった動物鍼灸を少しだけ紹介させていただきます。
注意:鍼灸は動物の病気(障害)の種類と程度によっては大変効果的です。しかし、鍼治療は獣医師法に触れますので当院では院長が直接患犬に対して施術を行うようなことはありません。日本動物鍼灸治療研究会←Click!のセミナーで獣医師が施術を行います。
動物への鍼灸
以下でご紹介しているのは自宅の飼い猫や、獣医師の先生と共同で施術方法の検討を行い、獣医師が施術に当たったものです。出来るからといって鍼灸の免許や人間の病気に関する知識しかない鍼灸師が、獣医師の監督の下であろうが、費用をいただくいただかないから等々の理由があろうが、安易に動物へ施術するのは危険ですし違法行為ですからやめてください。
日本動物鍼灸治療研究会
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我が家の飼い猫への治療
子供が拾ってきたこの子(キシンと命名)は、たぶん原因は交通事故だと思うのですが、前後足を完全に骨折しており、行きつけの獣医さんでは手術を薦められ、完全に治る確率は低いと告げられました。そして、あまりにも小さかったため迷いましたが獣医さんのテーピングと私の鍼で治すことにしました。
当初獣医さんにはテーピングにしても最低3週間は必要と言われましたが、鍼と併用することで12日で骨がつながり、その後間もなく元気に10mもある崖を上ったり木の上から飛び降りたりできるようになりました。
富里七栄の下半身麻痺のワンちゃん
12歳(人で64歳相当?)オス。レントゲン検査では椎間板に特に異常は見受けられなかったが、前立腺肥大が発見されたのでその治療も合わせて行われているとのこと。
腰痛を主訴とし、腰椎と仙椎の変性疾患で、椎間板ヘルニアの診断がくだりステロイドと鎮痛剤が投与されるが症状の改善はない。
最近特に腰痛の症状が悪化し、寝てばかりでおしっこと緩い便が垂れ流し状態。起立時に泣き叫ぶのと排便時非常に苦しがるとのこと。体重が2.5Kg減少している。成田市内の獣医師の先生と来られて、先生と相談しながら施術を行いました。
内容は腰椎と仙椎にかけて両側への刺鍼と通電および超音波。一診目で立ち上がり時の痛みが緩和してきたような感じがあり、排便時も鳴いて苦しそうなことは無くなったとのこと。二診目以降、両後ろ足の冷たさが取れる・・・が、下半身の麻痺は相変わらずで膀胱直腸障害もあるので自宅施灸。残念ながらこの子は7月22日に亡くなっています。でも、少し楽になったのではないかということと最後まで何かしてあげられたということが唯一の救いかと思います。
高熱によると思われる原因で下半身麻痺に鍼通電と自宅施灸
麻痺は下半身だけなので、元気すぎて引きずって歩くので、すっかりお尻の皮が磨り減ってしまったワンちゃん。
施術開始していくらか元気になるも麻痺は思うように回復せず。車椅子を自作されてリハビリ中。
1回の施術で麻痺が回復したミニチュアダックス
柏から来られたこの子は獣医師さんからの「病状経過報告書」によれば、
犬種 ミニチュアダックスフント
生年月日 平成12年12月25日 性別 去勢済みオス
病状経過 平成18年2月25日 お腹を触ると嫌がるとの主訴で来院。各種神経反射は正常で、第4腰椎の右側で痛み出現。レントゲン上では顕著な変化は認められなかったが、椎間板疾患を疑いステロイドの内服と安静指示。
同日夜間 歩いていたら急にキヤンと鳴いて後肢を引きずるとの主訴で来院。
その時点で両後肢のCPが消失。DPは正常。椎間板疾患の増悪を疑い注射治療を開始。
2月26日 状況はあまり変わらず。排尿は自力で可能であった。安静指示と注射治療続行(ステロイド・ビタミンB・抗生剤他)、この日からレーザー照射を開始。
2月27日 下痢便が出た。神経反射は変わらず。改善が乏しいので東京大学外科の予約を入れたが、4月10日であった。止寓薬を追加。
2月28日 左後肢のCPが少し回復してきた。DP・跳躍・踏み直り・膝蓋腱反射は左後肢正常、右後肢はCP・跳躍反射は消失。
飼い主様の希望により針を開始。(腎ゆ)以後同様の施術を行っている。
3月4日現在、左後肢のCPは回復しており、あと1週間は継続する予定である。
というご報告を受け当院で鍼開始。来院時は両足を引きずっていた。
1回目の施術の直後、左右下肢のCP回復。自立歩行が可能になる。
2回目に来院された時は、既に立ち上がれるので押さえつけるのに苦労するほどの回復。その後も順調に回復するが、両膝の障害(不安定性)があり、4診目から膝関節の施術を開始。安定してきたので手術をするかどうか思案中で治療を継続していましたら、今ではすっかり筋肉が付き安定・回復しました。たまに予防を兼ねて様子を見せに来てくださるのですが、駐車場で車から降りると脱兎のごとく玄関に飛び込んできます。
その後の症例報告
写真上の二人は獣医さん下の段の方は飼い主さんです。つづきは